都教委「チーム学校・報告書」と「都型共同実施」について

 

1 はじめに

 

東京都教育委員会は、20172月、「東京都におけるチームとしての学校の在り方」(以下「報告書」)を発表しました。これは、都教委が設けた「検討委員会」において行われた7回の検討をまとめたものです。その中には、教員関係の記述と伴に事務職員の働き方に関する記述も含まれています。本レポートでは、「報告書」に記載された事務職員に関する内容と、現実に試行等が行われている「都型共同実施」の状況等を合わせて整理して考えてみたいと思います。

 

 

2 報告書作成の経緯

 

報告書は、学識経験者3名、学校関係者3名計6名の検討委員によって、2016年6月から同年12月まで7回の会議により作成されました。検討委員会の設置目的は、①都内公立学校における「教育の質の向上:に向けた多様な人材の在り方 ②校長・副校長を中心とする、多様な人材を活用した学校組織運営の在り方を検討するとしており、ア 都内公立学校における、「専門スタッフ」、「事務スタッフ」及び「地域人材」の在り方 イ 校長・副校長を中心とする、多様な人材を活用した学校組織運営の在り方 ウ アとイに関する、具体的な改善対策の在り方 の3点を具体的に検討し、教育長に報告することとされています。

 

(冒頭部分で別添1のような状況認識と報告書が出された経緯等を記述。)

 

 都教委がまとめた「報告書のポイント」には、次のような事項が記載してあります。

  1. チーム学校の実現が意味するところは、教員を中心とした学校組織から、教職員が多様な専門人材と連携・協働しながら対応していく新しい学校観への転換があり、その実現にあたっては、「教員の多能化による組織運営」から「多様な人材との協働による組織運営」へと学校の組織文化の転換が不可欠であること。

  2. 都内公立学校の現状と課題を踏まえ、チーム学校の実現のために早急に取り組むべき事項は以下の4つである。

     ア 学校マネジメントの強化

      ・校長、副校長及び教員の業務の見直しと業務の明確化

    ・副校長を支援する人材を新たに配置し、副校長が本来業務に注力できる環境整備

    イ 学校事務の共同実施の推進と学校事務職員の専門性の向上

    ウ 教員と専門人材の役割分担と連携の在り方

     ・部活動指導については、外部指導員などの活用を推進し、教員の負担を軽減

    エ 地域との連携による学校教育の充実

     ・「コーディネーター」の育成支援や、地域の窓口となる教員などの育成

  3. 学校現場は教育管理職のみならず一般の教員も含め長時間労働となっており、教員が子供たちの指導に専念し、今後の教育をさらに充実させるためには、働き方を改善することが喫緊の課題。このために検討すべき特に重要な事項は次の4つである。

    ア 小学校における専科教員の拡大  イ 中学校・高校における部活動の外部化

    ウ 学校現場における業務改善    エ 適正な勤務時間の管理

     

    これらの都教委が掲げる「ポイント」から伝わってくるものは、切実な副校長のなり手不足をどうするかの危機感と、後述するように徹底的な事務職員に対する蔑視と都型共同実施による定数削減を狙う姿勢です。国におけるチーム学校の発想は、都教委の事務職員の削減を図る都型共同実施とは正面からぶつかるものです。それにもかかわらず都教委は無理にでも都型共同実施を報告書の中に持ち込み、国のチーム学校との矛盾をそのままにした報告書を提出してくるわけです。そもそもこの報告書に大した意味はない、と私たち組合側は判断していますが、それにしても、あまりに図々しい都教委の物言いには呆れるほかありません。チーム学校は、学校にいる事務職員が一定以上の機能を果たして、はじめてチームが完成し、学校全体の教育力・経営力を向上させるというものです。その学校事務職員を学校から排除しつつ、非常勤職員で代替させる都型共同実施のどこが「チーム学校」なのでしょうか。

     

    3 報告書に記載されている都の学校事務職員像

     報告書における「学校事務職員の状況」の記述については以下のとおりです。この記述から見て取れるのは、都教委の学校事務職員に対する蔑視と軽視の視点です。任用一本化を進め、学校事務職員の「職」の特性を否定し、一般行政職と同様な「職」としたのは、他ならぬ都当局です。当然、教育委員会もそれを否定しなかったわけです。それにも係わらずこの記載は何なのでしょうか?到底責任ある行政機関の態度とは思えません。

     どこが問題であるか、記述を参照しながら見解を述べてみたいと思います。

     

    (学校事務職員の状況)

    ○ 都内公立学校では、学校事務職員(都職員)が、原則として、小・中学校では各校1名、都立学校では各校4~5名が配置されている。小・中学校ではこのほかに、区市町村が独自に学校事務職員を配置しているところもある。

    ○ 学校事務職員を含む都の行政職員は、東京都職員として一元的に採用され、採用後も学校・都教育委員会事務局、他の行政部局との間で異動が行われている。このため、学校事務職員としての採用を個別に行っている他の自治体と比較し、都では学校事務としての専門性を養成することが人事制度上難しい状況にある。

     

    学校事務職員の専門性を否定しているのは、まさに当局自身なのにも係わらず、専門性のある人材を養成するのは、人事制度上難しいと言っています。以前は、採用に事務「D」という区分があり、それが学校事務職員の区分であったわけです。しかし、その事務「D」を廃止し、現在ではⅠ類、Ⅱ類等の区分によって採用試験を行っています。そのことが、まさに学校事務職員の専門性を否定する制度設計そのものなのです。しかも、「他の行政部局との間で異動が行われている」としていますが、実際には、学校は不人気職場であり、学校から出たいという希望は多くあるものの、学校へ来たいという希望はほとんどないわけで、交流は極めて限定的です。主任A(短期)の人事委員会試験に合格して、他局異動を希望するか、例えば、英検1級の語学力がある、特別なコネクションがある、など特別の条件がなければ、実質学校から他局への異動は難しいのが現状です。入ったら出られないのですから、当然学校へ来たいという希望も少なくなるわけです。それが、任用一本化に伴う「人事交流」の実態です。

     

    ○ また、小・中学校における学校事務の内容は、都の規定に基づく事務と区市町村の規定に基づく事務の大きく二つの側面があるが、都職員は、区市町村の事務手続等に必ずしも詳しいとは限らない。

    ○ 特に小・中学校の事務職員は、基本的に一人職場のため、事務処理のチェック・協力体制などが行いにくく、業務内容の特殊性からも希望者が少ない状況にある。また、職員の業務習熟という点でも一般の職場に比べて大きな課題がある。

     

    この記述にいたっては、何をか言わんや、という感じです。義務制の学校事務職員は、地方行法の規定により「県費負担職員」とされていますが、実態的には所属学校の設置者(区市町村)の職員でもあります。当然、都の条例・規則等だけではなく、その区市町村の諸規程の適用を受けて仕事をしています。仕事をするために、所属区市町村の規程等を学ばなくてはならないのは当然のことです。それをいまさら、「事務手続等に必ずしも詳しいとは限らない」とは何ですか。われわれは、よりよく仕事をするためにそれを学ぶのです。どんな職場にあっても、その職場特有の適用法律・規則・規程・通達文書などがあるわけで、どんな職員でも人事異動があればそれを学んで仕事に向かうのです。学校事務職員だけが学ばないはずはない。検討委員に入っている学校関係者は、みんな教員上がりの職制ですから、いかに学校事務に対して無知・無理解であるか、そんな底の浅い認識しか持ち得ないことを露呈している記述なのです。また、「一人職場のため(中略)業務習熟という点でも一般の職場に比べて大きな課題ある」という記述については、だからこそ学校には「事務職員会」などがあり、当局の研修の不備を補い、同じ職として新人の学校事務職員を「会」として体制を組みながらフォローして、業務習熟度の低い職員を地域全体としてカバーしているのです。そういう実態をこの報告書に関わった学校関係の検討委員はまったく知らないのだろうと思います。情けない認識です。

     

    ○ こうした課題の解消に向け、事務職員等による副校長業務への支援強化、事務の集中処理による正確性の向上と効率化、組織化によるOJT機能の付与などを目的として、都教育委員会では、小・中学校事務の共同実施を進めてきた。

    ○ 現在4区市(試行を含む。)が小・中学校事務の共同実施を行っており、「副校長が従事する業務が学校経営や人材育成にシフトした」、「事務職員の業務について相互チェックが働き、ミスが減少した」、「事務処理のノウハウの共有ができた」などの成果があがっている。

     

    さて、ここからが「都型共同実施」を推進するための言い訳がはじまります。都型共同実施については、標準型=拠点校に都事務職員を集め、7校を4名の事務職員で事務処理するというもので、連携校には正規事務職員を置かず、その代わりに「一般職非常勤職員(月16日勤務)」を置くことになるのです。結果として、正規事務職員は3名の定数減を行うことができることになります。正規3名の人件費>非正規7名の人件費ということで定数削減、人件費削減が可能になります。それが「都型共同実施」の本当の狙いです。

    拠点校に置かれる共同事務室だけを取ってみれば、報告書に記載されたようなメリットが生じることもあるでしょう。しかし、別添2の拠点校(共同事務室)と連携校との事務分担表で示すとおり、拠点校と連携校の事務を比較すれば、一目瞭然、共同事務室で処理する事務よりも学校に残って処理される事務の方が圧倒的に多く、また困難なのです。

    私たちはそのことを一番心配しています。配置された非常勤職員で、残った学校事務を処理するのはかなり無理があります。勤務日数(月16日)、繁忙期における超過勤務(できない)、自ずと制限がある非常勤職員としての業務などなど、連携校の学校事務は弱体化します。そしてそのしわ寄せは、当然副校長をはじめとする他の学校職員にいくわけです。

    「チーム学校」の目的は、学校事務職員も教員等と一体となり、学校総体としての経営力・教育力を強化するということです。正規学校事務職員を学校から切り離し「合理化」して定数削減するという悪辣な手法では、学校の経営力・教育力を削ぐものになります。

     

    ○ また、都立学校では校長の学校経営を支援する事務室として、経営企画機能を充実・強化するため、平成18年度から事務室を「経営企画室」に改めた。「経営企画室」には、校長がリーダーシップを発揮し、より自律的な学校経営が行うことができるように、新たな機能として学校経営事務局機能、サービス窓口機能及び業者や地域との渉外機能を加えた。

    ○ さらに、「経営企画室」の支援を行うため、各学校の経営支援を総合的に行うとともに、庶務事務や経理事務の集中処理を行う「学校経営支援センター」を都内3か所に設置している。

     

     この部分は、都立学校(高校=職業科、特別支援校を含む)の記述です。都立学校では以前6名以上配置されていた事務職員を4名にして(1校2名以上削減)、「学校経営支援センター」(3箇所)を設置して、契約等の業務を集中させるということになっています。しかし、学校における契約等の事務は、各学校から支援センターに契約依頼を出して処理させるのでは、実際には何らの事務の集約になりません。契約上のメリットも、実際にはほとんどなく、時間や手間がかかる(仕様書等を細かく記載する必要が出る)、契約単価も学校契約時よりも上がっている、という実態への批判があります。庶務事務系でも例えば旅費事務なども、センターに送付すれば終わりではなく、内容の確認や過誤の訂正確認等学校で処理した方がよほど手間がないという実態があり、総体として「学校経営支援センター」は当局のもくろみどおりには機能していないのです。支援センター化により、数百人の単位で事務職員定数を削減しましたが、学校の経営企画室(以前の事務室)においても、センターにおいても、業務の困難性・多忙性は目を覆うばかりで、繁忙期には相当量の残業(サービス残業含む)が生じている実態があります。支援センター設置に係る学校事務の実態やセンターの業務実態についても、都教委は何の検証も行っておらず、しかも実態について声を上げる職員に対しては、例えば、再任用時に他の職員とは差別するなどおよそ教育行政を最前線で支える現場を大切にする姿勢は皆無なのです。

     

    4 学校事務の共同実施の推進と学校事務職員の専門性の向上

    報告書の後半に、「学校事務の共同実施の推進と学校事務職員の専門性の向上」という記述があります。記述内容を見ながら見解を述べてみたいと思います。

     

    ○ 学校事務職員は、学校運営事務を担う職員であり、学校の組織的な課題解決や効果的な運営のために、学校経営を支える重要な役割を担う。

    ○ 現状の小・中学校の学校事務の抱える課題を解決するためには、学校事務を組織化し、併せて職員の職務遂行能力を向上させていくことが必要である。このためには、複数の学校で共同して事務室を設ける学校事務の共同実施が有効である。共同事務室では、複数の職員で事務室を構成することができ、組織化による人材育成や、集中処理による正確性の向上と効率化が可能となる。

    ○ 一方、共同事務室の設置により、各学校で処理した方が効率的な事務や区市町村の独自事務が各学校の事務室の仕事として残ることになる。このため、各学校では、区市町村の事務処理や地域事情に詳しい人を配置することが必要となる。

    ○ 今後、学校事務の共同実施を推進するためには、区市町村ごとに会計事務や契約事務などの手続やシステム等が大きく異なることから、個々の課題の把握及び課題の解消に向けて、都教育委員会としてどのような支援が必要なのか、調査、検討していく必要がある。

     ○ また、都立学校を含めた学校事務職員については、どのような支援が必要なのか、調査、検討していく必要である。学校事務職員が学校経営を事務の面から支える唯一の職であることから、長期的視点に立った人材育成や人事制度について検討することも必要である。

     

     そもそもこの報告書は、学校教育に資する、という目的を持って作成されたとはとても思えないのです。よく言えば、無意味。正しくは、「チーム学校」の文部科学省方針に対するある種のアリバイのために作られたということだと思います。したがって、学校事務に関する記述についても、現状をよりよくさせようという発想は皆無であり、都型共同実施の施策を推進しようということしかないのです。例えば、この標題です。これは報告書そのままの標題ですが、学校事務職員の専門性の向上など、どこにその具体的な記述がありますか?確かに「どのような支援が必要なのか、調査、検討していく必要」を言ってはいますが、それは都型共同実施を推進するためです。学識経験委員の中に、文部科学省の委員を歴任した人が入っているため、「学校事務職員は、学校運営事務を担う職員であり、学校の組織的な課題解決や効果的な運営のために、学校経営を支える重要な役割を担う。」(下線は筆者)の記述と、最後「学校事務職員が学校経営を事務の面から支える唯一の職であることから、長期的視点に立った人材育成や人事制度について検討することも必要である。」(下線同)等の記述が入れられていますが、都教委は、この指摘について踏み込んで具体的な検討などをするつもりはなく、検討委員の”顔を立てる”ため報告書に書き入れただけなのだろうと推測しています。したがって中間部分の記述は、都型共同実施の推進ばかりを入れているのです。論旨が一貫しません。学校運営事務を担い学校経営を支える職であるならば、何故学校から切り離して、拠点校の共同事務室で勤務させなければいけないのでしょうか。そんな矛盾すら、都教委は一顧だにしない姿勢なのです。

     

    5 報告書の評価と都型共同実施

    以上のとおり、この報告書にある学校事務職員像は、その実態すらきちんと反映させることができず、実態等に無知であるゆえに蔑視している、ということだろうと思います。そして、定数削減を狙う都型共同実施を推進する、という矛盾に満ちた結論だけを書いているのがこの報告書です。では、その都型共同実施は上手く進んでいるのか?と言うと、とても上手くいっているとは言えない状況にあります。以下、その現状を書きます。

     

    都型共同実施は、先行の江東区(3拠点22校中学校のみ)、武蔵村山市(2拠点14校)に加え、清瀬市(1拠点7校)、東村山市(1拠点7校)、今年度から試行開始の小金井市(1拠点4校)を加えて1区4市で試行が行われています。20124月に2区市で試行が開始されてから6年目にあたる現在、5区市54校(定数18減)となった試行等の現状は、『10年かけて全地域に拡大したい』とした「松山構想」からは、当局の思いどおりに進行していないことは明らかで、都内全校へのビラ配布(2016年9月)行動など、組合7者での共闘運動が大きな抑止力となっていることは間違いありません。

    試行地区の中で、例えば清瀬市では学校徴収金事務を誰が担うかなどの重要問題を解決できていないなど、総じて試行は難航しています。唯一「上手く行っている」と主張している武蔵村山市の場合、全校に市事務職員が配置されていること、他の多くの地区で都事務職員が担っている予算作成・管理、備品、学校徴収金、就学援助などの事務を分掌してきておらず、都事務が、給与・旅費・共済事務しか担当していないことなどかなり同市特有の条件があり、しかも武蔵村山市は、堅い箝口令を敷いて生の情報を一切外に出さないなど試行の評価は都と市当局の一方的なものです。「上手く行っている」発言自体が都教委施策を進めるための政治的なものだと言わざるを得ません。「松山構想」それ自体が、机上の暴論ではないか、と思える状況が試行地区全体からは見て取れます。

    そもそも、国標準定数法の精神は、学校事務職員は学校に勤務し、教職員の一員として協働して学校運営に資するというものであるはずです。文部科学省は近年「チーム学校」の名の元に、事務職員も他の教員等と力を合わせ、学校全体の教育力、経営運営力を高め、学校教育の向上を図って行こうという方針を出しています。また、学校教育法等の改正により、学校事務職員の職務が「事務をつかさどる」に改められました。都型共同実施は、そうした考え方とは真逆に、事務職員を学校から離し特定の事務処理に特化させて「合理化」し、定数削減を図るという極めて悪質なものです。連携校を非常勤職員化することは、これからますます高度化・複雑化し重要性を増してくる学校事務の役割を矮小化し、学校の経営力を削ぐものです。都型共同実施では、学校現場の混乱はさらに進むことでしょう。

    組合7者では、2015年2月「共同実施反対1万人署名」(10,126筆)提出後も、数度にわたり解明要求書等を提出し、労使協議を求め続けています。都教委の対応は、不誠実なものに終始していますが、某市教育長の発言を質した結果、同市では都型共同実施導入の検討を後退させるなど、試行拡大を阻止する一助になっています。

     

    *組合7者は、東京で事務職員を組織している以下の7組合

    都校職組(日教組)、東学(自治労)、アイム‘89(独立系)、事務ユニオン東京(全学労連)、東京教組(日教組)、都教組事務職員部(全教)、都庁職都立学校支部(自治労連)

     

    6 都校職組の闘い

     以上のように、この情けない報告書を見ていると、私たちはさらに都型共同実施への闘いを強化しなければならないという思いを強くします。このままでは、ますます東京の教育が破壊されてしまう。また、これでは都教委の最大のアキレス腱となっている副校長の人材不足問題についても、ますます状況は悪化していくことでしょう。某全国紙の記事によれば、副校長の不足数は全都で約250名ということです。都内の義務制学校は、およそ1950校ほどです。その中で250名不足しているということは、いったい何人の副校長試験の受験者がいることになるのでしょうか。人事院などは、公務員の採用にあたって、適正倍率は最低10倍ほどであると言っています。2~3倍程度の倍率では採用不適格者の排除も難しいという見解です。都の副校長試験は、毎年応募期間を1ヶ月程度延長して実施しています。1倍以下の倍率では不適格者の排除などできるはずもありません。副校長に不適格者が任用されると、学校現場は本当に困ります。都校職組執行委員会の中にも不適格副校長配置校に勤務しているメンバーがいます。話を聞けば、その学校の困難さが身にしみます。それらも、東京都の現状では当然に生じることなのです。都教委は、そういう現状こそ改善するべきで、現状をさらに悪化させる都型共同実施の推進(=定数削減措置)を早急にやめるべきなのです。報告書には、他に一般教員の長時間労働等の実態も記載されています。しかしどこを取ってみても、まるで他人事のような記述が並びます。都教委には、日の丸を掲げ君が代を斉唱させること以外には、学校の現状を推し量る誠意すらも残っていないのではないか、という暗澹たる思いがします。

     また、これらの一連の状況の背後には、都職員の非正規化を進め、さらなる人件費の削減を図ろうという都庁当局の新自由主義的人事施策があります。都の人件費比率は22.7%(平成26年度決算による)という、全国で類を見ない低さです。さらに、成績主義に基づく過酷な人事制度があります。全国一物価が高い東京で働く都職員の生活は、大変厳しい状況にあります。都型共同実施なども、そうした劣悪な勤務条件を強いる都庁当局の姿勢から導き出されてきたものです。

     

     以上のように、東京は大変に厳しい状況が続いています。都校職組は、前述のとおり他組合とも協働しながら、たびたび解明要求書等を提出して労使協議を求め続けています。都教委は、不誠実な対応を繰り返していますが、私たちは決して諦めることなく粘り強く声を上げ続け、東京都の民主的な教育を守るのは自分たちだという自覚を持ち、都教委を追及する手を緩めず闘いを続けていくつもりです。唯一、労働組合の団結力だけが当局に対抗し得る武器だと思います。都校職組は、小なりと言えど、単組としての力を存分に発揮して、東京の現状に対して力いっぱい闘って行こうと考えています。